見逃される脳の病気

見逃される脳の病気

脳腫瘍の診断にはMRI検査が効果的だ

 「これからも、妻のように苦しんでいる患者を救ってください」「頭痛の新常識」(4月20日―24日)を読んだ埼玉県川口市の会社員吉家(きっか)忠臣さん(29)から、感謝の電子メールが届いた。

妻の純子さん(31)は、月に1、2回激しく痛む片頭痛持ち。しかし、今年4月中旬は違った。いつもは片側のこめかみなのに頭全体が痛く、常用している鎮痛薬を飲んでも治らない。

地元の病院の脳神経外科でCT(コンピューター断層撮影法)検査を受けたが、「異常はない」との診断。いつもとは様子が異なることをいくら純子さんが訴えても、医師は「ただの頭痛」と言って薬を出すだけだった。

そんな時、忠臣さんが読んだのが先の記事。激しい頭痛を訴えていた女子中学生が脳を検査したところ、様々なホルモン分泌の中枢である脳下垂体に腫瘍(しゅよう)が見つかり、切除手術したら痛みが軽くなった、という内容だった。

純子さんは翌日、記事に出ていた東京女子医大脳神経外科の頭痛外来講師、清水俊彦さんに診てもらった。MRI(磁気共鳴画像)検査の結果は、やはり脳下垂体腫瘍。今月下旬に女子医大で切除する予定だ。

 「記事を読んでいなかったら、と思うとゾッとする」と純子さんは言う。

滋賀県の女性は、28歳の娘が中学3年生の時の体験をつづってきた。

頭痛が1週間続き、近所の病院と大学病院の脳神経外科を受診した。検査を受けたが、診断は「片頭痛」。しかし1か月以上も痛みが治まらず、別の大学病院に行って検査したところ、即、入院となった。

脳の真ん中あたりにあり、脳下垂体と同じようにホルモンの分泌などにかかわる「松果体(しょうかたい)」に腫瘍があり、大手術の末、切除した。

身をもって生命の大切さを知った娘は医療の道を志し、現在、医系の大学院で学んでいる。


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一方、東京都の女性(30)のケースは深刻だ。

1年前、激しい頭と吐き気が治まらず、近くの診療所を2回受診したが、診断は「単なる風邪」。病院でCT検査を受けると、右後頭葉に7センチの大きな腫瘍があり、破裂し出血していた。

「大きさからみて、先天性の可能性が高い」と医師。腫瘍は良性で、手術は成功したが、腫瘍が目の神経を圧迫していたせいで、両目の左側の視野が欠ける後遺症が今も残っている。

女性は高校生の時にも頻繁に頭痛があり、先の診療所で「風邪」と言われた。「あの時点で検査を受けて対処していれば、障害が残らなかったのではないか」という思いが今もぬぐえない。

清水さんは「痛みの性質が変化したり、吐き気を伴うようになったりしたら、必ず専門医の診察を」と勧める。

ただし、その専門医は、患者が地道に情報を集めるしかないようだ。

(2004年6月4日 読売新聞)

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